他愛もない話や。聞き捨て御免!なのだ☆
師走の始め、昼下がり…
ここは栗東トレーニングセンター、
とある厩舎の、とある馬房…
コンコン…コンコン…
「インピィさん、いらっしゃいますよね。インピィさん、失礼しますよ。」
「ん!誰?取材なら先に厩務員さんに声掛けてや!今、めっちゃ疲れてんねん。」
「突然すいませんね。私、JRA公正競走監視保安委員、略して公安の者です。ちょっとお話しをお伺いしたいんですが。」
「こ、公安やて?なんやねん!オイラが何か悪さした言うとるん?」
「いえいえ、もちろん悪さなんてしていませんよ。
今日は先日のチャンピオンズCの件で二、三お聞きしたいことがあってお邪魔した次第なんです。」
「それやったら、ウチの先生かジョッキーのピュタカさんに聞けばええやんか。何でこっちに来んねん。」
「いや、あなたでなきゃ駄目なんです。」
「何でや?」
「人間では駄目なんです。」
「せやから、何でや ⁉︎」
「人間は嘘をつくからです。」
「ふ、深いわ……って、感心しとる場合やない!何や!何聞きたいんや?オイラ、難しい話は出来へんで!」
「ありがとうございます。あ、お伺いする前に、こちら差し入れです。🥕🥕良かったらどうぞ。」
「なんや、気が利くやないか。ほな遠慮なく….ボリボリ…う、美味いな…ええでええで、なんでも聞いてや。」
「では早速ですが、インピィさん、今回のチャンピオンズCは随分とスムーズに逃げられましたが、前回と何が違ったんですかね?」
「なんや、やっぱ取材やんか。まあええわ。そら、簡単な話や。今回はスマパマもリアンヴェリペもおらんかって、誰も絡んで来んかったし。あれなら楽勝や。」
「なるほど。確かに、平安Sは競りかけた相手が怯まずに突っ走った。その影響であなたもオーバーペースになって、最後は失速するハメになった。」
「それに、4コーナーで不利も受けたしな、もうヤル気無くしたんや。ホンマ、しんどかったで。」
「そうでしたか。あと、かしわ記念や帝王賞の時も逃げられませんでしたが、それにも何か理由があったんですかね?」
「もう、イヤな事ばかり聞くな〜💦えっとな、かしわ記念の時は放牧明けでぼ〜っとしてたし、枠入りした時に内側から、"おい、あんちゃん初顔やの〜何処から来たんや?"って声掛けられて、そっちの方向いたら、その瞬間にゲート開けられたんや。参ったわ。あとでピュタカさんも、ハメられた〜❗️言うて怒っとったで。あれはオイラのせいやないんや。」
「やはり地方競馬となれば、ピュタカさんといえども勝手が違うんですかねー」
「せやから、帝王賞の時は油断せんよう気ぃ付けとったんや。ゲートもちゃんと出れたし、よっしゃ行ったるでー!って飛び出したら、ピュタカさんにまだダメや!言われてよ、ちんたらちんたら走らされたんや。」
「2000mは少し距離が長いですから、ピュタカさんはペース配分を考えたんでしょう。」
「キョリ?ペース?何のこっちゃ。レースになったら、ガーッとぶっ飛ばして行けばええねん。牧場ん時からそうしとったし、それで勝って来たやないか!あん時はホンマイラついてヤル気無くしたわ。」
「よくヤル気無くすんですね。」
「なんや、説教するんか ⁈ やっぱりアンタも人間なんやな。どいつもこいつも走れー!言うたり止まれー!言うたり、うるさいねん❗️」
「まぁまぁ、そう怒らないでください。あ、これ、他のお馬さんにもと思ってたんですが、インピィさん、良かったらおかわりなさいませんか?🥕🥕🥕」
「そうか?しゃーないな、腹が減っては戦は出来んしな、いただくで♪」
「はい、あと、腹が立っては戦は出来ませんからね。」
「ボリボリ…ふ、深いな〜ボリボリ…ちとムカつくけど、その通りかもな〜ボリボリ…それにしてもこの🥕めっちゃ美味いわ〜」
「これは東京競馬場に程近い新座の人参ですよ。お口に合ったようで何よりです。」
「と、東京競馬場?せやったら、またフェブラリーS勝ったら、これ食べさせてもらえるんかなー?」
「ええ、そうかもしれませんね。私の方から厩務員さんに口添えしておきましょうか。」
「ホンマに❓よっしゃ〜❗️やったるでー❗️フェブラリーSは絶対に勝ったる❗️誰にも負けへんわい❗️」
「切り替え早っ❗️さすがL系。」
「エルケー?なんやそれ。」
「いやいや、こっちの話です。失礼💦ところで本題ですが…」
「なんや?まだ聞きたい事でもあるんか?…ボリボリ…」
「テーオーエナピーさんとは、以前から仲良しだったんですか?」
「んぐっ‼️💦」
「チャンピオンズC、テーオーエナピーさんがスタートして直ぐに右斜め後ろに付けてましたね?まるでインピィさんを護衛するかのように。」
「て、テーオーエナピーなんて、し、知らんピー!お、オイラ前しか見てへんかったで、う、後ろに誰がおるかなんて、わ、分からんしな〜」
「そうでしたか。いえね、3走続けて不本意なレースを強いられた割に、随分と安心して走ってらっしゃるように見えましてね、ひょっとしてテーオーエナピーさんがあなたをガードする事は、ジョッキーも含め打ち合わせしていた事なのかと…」
「そ、そんなワケないやんか❗️💦 それに、ハルピコさんとは打ち合わせどころか会った事も話した事もあらへんわ❗️💦」
「どうしてテーオーエナピーの鞍上がハルピコさんだと分かるのですか?知らない人なんでしょう❓」
「…💦💦💦」
「正直に話してもらえませんか?あのレース前、何があったのか。大丈夫、インピィさんには迷惑かけませんから。」
「でも…先生やピュタカさんに迷惑かかるかも…どないしよ…」
「🥕🥕🥕🥕🥕…まだまだありますよ。」
🥕🥕🥕🥕🥕🥕🥕🥕🥕🥕…
「旦那には敵わんわ〜。」
「レース前、あなた、本当は不安で不安で仕方なかったでしょう?スマパマやリアンヴェリペがいなくても、ロンロンタウンとかワイドパラオとか、競りかけてきそうなギラギラした奴らが沢山いましたからね。」
「うん、ホンマはビビってたんや。ピュタカさんにも散々泣き言吐いたわ。アカン、もう、イヤや〜てな。」
「フムフム…」
「そしたらピュタカさんがな、"大丈夫や、手は打ってあるさかい😎心配するな。インピィ、今日は気持ちよく逃げてええよ♪"て言うてくれたんや。」
「なるほど。」
「"ハルピコには天神や中洲で何度も世話しとるで、しっかり役目は果たしてくれる筈や"て言うてましたわ。」
「小倉開催の時は、ピュタカさんが若手騎手を連れ立ってブイブイ言わせてるって、時々噂に上がりますね。それは有り得る話ですよ。」
「で、レースになったら、ホンマ、ピュタカさんの言う通りやった。ハルピコさんがちゃんと外をガードしてくれたおかげで、めっちゃ走りやすかったもんな。」
「気持ち良かったでしょ?」
「うん、チョー気持ち良かった♪ピュタカさんもルンルンやった♪ "インピィ、今日は勝てるで!ハルピコのおかげでコールドポリームは外に膨らむやろうし、クリソぺるリは内に閉じ込められたままや!"って、嬉しそうやったわ♪」
「まるで競馬というより、競輪ですね。確かにピュタカさんといえば競輪好きで有名ですからね〜」
「でも、テーオーエナピーさん、直線に入ったら直ぐにタレてもうた。ピュタカさんが必死に追うから、オイラも精一杯頑張ったんやけどな…」
「精一杯?なるべく…の間違いでは?」
「まぁそんなとこや。」
「で、思ってたより早くコールドポリームに追いつかれて、クリソぺるリに間を割って来られてしまったんですね。」
「最後はオイラもヘトヘトやったしな。体力には自信あるほうやけど、やっぱりオイラには1ハロン余計に長いわ。」
「キョリ、分かってるじゃないですか笑」
「それにしても、コールドポリームさんの根性には引くで。なんであんなガムシャラやねん?疲れるだけやんか!まるでオイラがサボってるように見えるやんか!」
「見えるじゃなくて、本当に投げ出す時があるじゃないですか。」
「せやねんな。でも真似出来へん。それに、なんやアイツ、クリソぺるリ!めっちゃ速いやんか!正直、今まであんなごっつい奴見たこと無かったわ。聞いてへんで❗️」
「タンショー?ウマタン?なんやそれ?」
「いやいや、それもこちらの話です。それにしてもインピィさんは悔しかったでしょうが、あの強力メンバーの中で3着なら、十分誇っていいと思いますよ。見事でした。」
「そうかな、それならええねんけど…ま、次はフェブラリーSや!東京競馬場や!美味しい人参ゲットや!絶対に勝ったる!」
「本当にL系は立ち直り早いな笑」
「なんやさっきから、エルケーエルケーって!」
「いや失礼!ところでインピィさん、次のフェブラリーSですが、鞍上がピュタカさんじゃなくて、例えばパワダさんでも勝てる自信あります❓」
「え、何で?パワダだけはイヤや。平安Sでもう懲り懲りや。ピュタカさん以外、誰でも遠慮したいで。オイラ、ピュタカさんやないとアカンねん❗️」
「そうですか、分かりました。……さて、それでは、そろそろ失礼しますかね。」
「おーい、随分と後味の悪い帰り際やな。何か企んどるんやないか?」
「まぁこれが私の仕事ですから。ちなみに今日のあなたの証言は全て録音させて頂きました。とりあえず、今回のピュタカさんの騎乗については、JRA公正競走保安委員会にて審議対象に申告されると思われます。場合によっては、コンビ解消の手続きを取る事になるかもしれません。」
「こ、コンビ解消やて⁉️そんな殺生な〜💦は、ハメられた〜❗️」.
「🥕に負けたあなたにも責任がありますよ」
「嘘や〜!さっきのはみんな嘘や〜❗️なんやねん、このひとでなし〜〜〜‼️」
インピィ…インピィ…
「何?インピーダンス?あんた大丈夫?」
その声は、嫁はんの声…❓
なんや、夢か…
ふう、良かったわ。
それにしても、ワシ、不純やの…
宜しかったら、競馬予想のご参考になさらないでください。
以上、失礼します。